白熱の心理戦、目を離せない展開。サスペンス映画はやめられない!
映画の神髄、サスペンス
ハラハラドキドキしたいなら、やっぱりサスペンス映画が一番。少々グロかったり残酷な描写のある作品も多いですが、こういうものを映画に求めている人も決して少なくないはずです。こちらでは、洋画のサスペンス作品13本をご紹介します。上映中の新しい作品等は入れていないので、DVDなどですぐに観る事ができるはず。是非参考にしてみて下さい。
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傑作サスペンス映画13本
セブン('95)
グロテスクかつスタイリッシュ、衝撃的なラスト。誰もが認める傑作サスペンス。
デビッド・フィンチャー監督、ブラッド・ピット、モーガン・フリーマン出演の大傑作サスペンススリラー。当時小学生の僕には、このラストはキツすぎました。ベテランと新人、二人の刑事の前に現れたのは、キリスト教の「7つの大罪」に沿って殺人を繰り返す猟奇殺人犯。やっとの事で犯人を追いつめたかに思った二人だったが、犯人の用意していた衝撃的な罠にかかっていた。
殺人現場のグロテスクな様子が結構しっかり映し出されるのだが、そんな画面でもなんだかカッコ良く見えてしまうのがフィンチャーの映画。というかこれを書くのに改めて調べてみたら、あの憎たらしい犯人はケヴィン・スペイシーがやっていたのか。
イースタン・プロミス('07)
僕たちが知らないヨーロッパの人身売買の世界
これも相当キツい。あらすじはちょっと複雑で、ロンドンにいるロシアンマフィアの世界を描いている。これがヨーロッパの現実なのだとすると、奴隷制は今も全く無くなっていないんだな、という感想を抱く。
ヴィゴ・モーテンセンがサウナで繰り広げる裸の戦闘シーンはかなり凄い。筋肉好きの女性におすすめ。ヴァンサン・カッセルは相変わらず軽薄な男を上手に演じているのだが、それだけに終盤で下すある「決断」には心を動かされる(実際には主人公の思惑通りではある)。マフィアのボスを演じるアーミン・ミューラー=スタールもにこやかな中に凄みを感じさせる演技で、かなりリアルな感じがした。
悪の法則('13)
甘っちょろい綺麗事は、この世界では通用しない
2013年公開のリドリー・スコット監督作品。「ノー・カントリー」の原作者の書き下ろし脚本と聞いて劇場に見に行ったが、期待を遥かに上回る素晴らしい作品だった。
正直、好き嫌いがハッキリ別れる映画なのは間違いないが、映画に「世界の現実」や「非日常」を求めているような人には確実にお勧め出来る。
ブラピやキャメロン・ディアスが出ていたりするので、軽い気持ちで見に行った友人がいたが、まったく予想外の展開で戸惑ったようだ。聞く所によると、アメリカでもあまり評価が芳しくないらしい。どうなってんだよまったく。この映画に関しては感想が山ほどあるから、いずれ書けたらいいなと思う。「悪の法則」という邦題も良いが、同時期にやっていた日本映画「悪の教典」とかぶり気味。世の中のきれいごとにイライラしている人におすすめ。
羊たちの沈黙('91)
人食い精神科医がこんなに格好良く見えていいのか
ジョディ・フォスターとアンソニー・ホプキンスが繰り広げるサイコ・スリラー。アカデミー賞を総なめにした映画で、今でもサイコ・スリラーの代名詞になっていると思う。自身の患者を殺して9人も食べたという精神科医レクター博士。彼の過去にせまるFBI捜査官・クラリスとの鬼気迫るやりとりがみもの。
この映画は、この主演二人の魅力がかなり効いていると思う。レクター博士は殺人鬼で許されない人物なのは間違いないが、徐々にカッコ良く見えてきてしまう。こういう「正しくない」感想や批評を述べられるのが映画のいいところだ。ジョディ・フォスターもしゅっとしていて格好いい。こういう演出があってこそ、終盤のちょっと驚く展開も自然に受け止められる。
オーシャンズ11('01)
こんなもん、良い映画に決まっとるやないかい
サスペンスというには爽やかすぎるが、一応犯罪ものということで。公開当時は「夢の豪華共演」が話題になっていて、僕も「こんな映画が実現するなんて!」という感じでかなりビビった記憶がある。リーダーのオーシャン(ジョージ・クルーニー)率いる11人の窃盗団一味「オーシャンズ11」が、ラスベガスを舞台に大規模な現金強奪を試みる。共演はブラッド・ピット、ジュリア・ロバーツ、マット・デイモン、アンディ・ガルシアら。
こんな映画いいに決まっているし、なんだか褒めるのが悔しい気もする。監督は最近引退を発表したスティーブン・ソダーバーグ。「金が無くなったらオーシャンズの続編でも撮るよ」などと言っていたそうだ。
シティ・オブ・ゴッド('02)
過酷な現実でこそ、非現実的な夢や理想を持たなければいけない
超おすすめのブラジル映画。60〜70年代のブラジル・リオデジャネイロの貧民街を舞台に、ギャングの抗争の中で生きる少年達の生き様を描いている。生きて行く為には何かしらの犯罪に手を染めるしか無い、過酷な環境。これをみたら、「ドラッグは良くない」とか「暴力はダメ」みたいな「正論」が何の役にも立たない事がよくわかる。この世界には、それ無しでは回らない社会も存在する。それが現実だ。
そしてこのシティ・オブ・ゴッドではそこから抜け出す為の唯一の道もしっかりと示している。「過酷な現実に目を向けろ」というのと、「希望や夢を大切にしろ」というのは正反対な発想に思えるが、常にワンセットで必要なのだという感想を持った。何を言っているかよくわからないかも知れないが、映画を見てもらえればかならず納得して頂けるはず。
パルプ・フィクション('94)
これを観ておけば映画通気分
初めてパルプ・フィクションを観た時は、「こんな映画があるのか」といった感じでかなり衝撃を受けた。当時は確か中学生でそこまで映画について詳しかった訳ではないが、こんな映画監督は絶対に他にいないと思った記憶がある。ニューヨークを旅行した時にタクシーの運転手の人が「オレは映画はあまり観ないけどタランティーノに関しては天才だと思う」といった事を言っていて、何だかうれしくなったという思い出もある。
特にパルプ・フィクションに関してはあまり変な事を言うと怒られそうなので、とにかく観て下さい!!とだけ言っておくとする。ちなみに出演はジョン・トラボルタ、ブルース・ウィリスらで普通に豪華キャスト。
パルプ・フィクションはHuluで視聴可能。スマホでもPCでも見られて最初の2週間はなんと無料!
キル・ビル('03)
元ネタを知らずとも楽しめる。映画好きによる映画好きのための映画
千葉真一や栗山千明が出演していて日本でも話題になった、クエンティン・タランティーノ2003年の作品。かつての組織に裏切られて夫と子どもを失ってしまった女性が復讐を目指すというあらすじ。
僕自身は香港映画など、この映画の元ネタになっている要素をあまりわかっていない。それなのにこんなに熱中できるというのも不思議な感じがする。あと僕は何故かこの映画を、大してアクション映画に興味の無い彼女を連れて観に行ってしまった。今じゃあり得ない。僕も少しは成長しているようだ。
トゥルー・ロマンス('93)
90年代の爽やかサスペンス映画
トニー・スコット監督で、タランティーノ脚本の1993年作品。「ビバリーヒルズ青春白書」風の90年代っぽい感じが全体的にあるのが個人的に好きなポイント。爽やかなラブ・ロマンスでありながら結構エグいサスペンスや銃撃戦も展開したりする、タランティーノらしいあらすじ。
主演のカップルはクリスチャン・スレーターとパトリシア・アークエットが務めている。ブラッド・ピットもちらっと出てくるが、やっぱりすごく存在感がある。
ファイト・クラブ('99)
映画、映像作品の歴史を塗り替えたカルト・ムービー
僕にとっては「カルト映画」と聞いて最初に思い浮かぶのがファイト・クラブだ。出演はブラッド・ピット、エドワード・ノートン。監督はこの作品で地位を確固たるものにしたデヴィッド・フィンチャー。退屈な毎日と不眠症に悩まされるジャック(エドワード・ノートン)のもとに、謎の男タイラー・ダーデン(ブラッド・ピット)が現れる。タイラーと共に「ファイト・クラブ」という秘密のサークルを作り、殴り合うことでリアリティを回復しようとするジャックだったが・・というあらすじ。
最近でも日本語ラップの若手の間で「Fight Club」という一連の何かがあったようだし、ファイトクラブは今なお若者に影響を与え続けているのかもしれない。当時中学生だった僕らの間でも、「ファイトクラブやろうぜ」とかいって円になってボクシング風の遊びをしていた。そんなハリウッド映画は当時無かったのではないか。ブラッド・ピットのカリスマ性や、フィンチャー演出による抽象的ながらもスタイリッシュな世界観のイメージが、映画マニアに限らない多くの若者の心を公開当時から今に至るまでひきつけ続けているのだと思う。この映画は、國分功一郎の「暇と退屈の倫理学」という本の中では消費社会の説明のネタになっている。映画を観て面白いと思ったら、そちらの本も是非読んでみると理解が深まるかもしれない。
サイコ('60)
1960年の白黒サスペンス映画。ストレートに楽しめますよ。
アルフレッド・ヒッチコック監督による1960年の作品。白黒映画だし、「ヒッチコック」とか言うだけで難しそうだし敬遠している人が多いかもしれないが、エンターテインメントとしてみてもかなり楽しめる映画だと思う。ただ結構ガチのサスペンスで、普通に怖い所も多い。ちなみにこの映画の制作過程を描いたのが、アンソニー・ホプキンスがヒッチコックを演じた「ヒッチコック」という映画。ヒッチコックは、人間が潜在的に抱えている「恐怖」をかなり的確についてくる、いや〜な映画監督。しかしそれを表現する為にありとあらゆる技巧を凝らしていて、感心するところが本当に多い。
ウィンターズ・ボーン('10)
貧困とドラッグ、アメリカの現実
結構マイナーだけどおすすめ。今やトップ女優となったジェニファー・ローレンスが一躍有名になった作品で、この映画でも既に圧倒的な存在感を放っている。わずか17歳にして一家を支える女性・リー。追い打ちをかけるように父親が失踪。家族を守る為に事件の真相に迫って行く。
この映画でリーの最大の敵となるのは、警察でもマフィアでもなく、本来仲間であるはずの親族や地域の知り合いなのだ。貧しさというものは、絆や信頼も奪ってしまうという、残酷な現実がある。経済大国アメリカも、ちょっと田舎にいくとこんな大変世界なのだ。日本は格差社会になったとか言われるが、これにくらべれば遥かに平坦な社会だろう。
ブラック・スワン('10)
完璧に演じるという事は時に、別の人格を得るという事でもある
自分の中でかなり重要な映画。映画っていいな!と思える作品。監督は「レスラー」や「ノア」を撮ったダーレン・アロノフスキー。主演はナタリー・ポートマンで、ライバルの女性として「テッド」に出ていたミラ・クニスも出演している。ニューヨークでバレエダンサーとして頑張る女性が、念願の役「白鳥の湖」の主役をゲット。しかし、そのプレッシャーにやられて追いつめられて行く。
あらゆる角度から批評が可能で、メディア論やジェンダー論にも通じて行くような極めて射程の大きな作品だ。「レスラー」で使った手法をさらに洗練させ、ナタリー・ポートマンの女優としてのイメージを最大限に利用している所が凄い。他には全く無いような視点で映画を撮っている監督だと思う。ただ、「ノア」は正直期待に届きませんでした。
サスペンス好き必読の関連本
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高橋ヨシキ氏の博覧強記ぶりは本当にスゴい。それでいてあんなにクールなアートワークもつくれるなんて嫉妬です!残酷な映画を残酷な書き方で紹介してくれるこちらの「悪魔が憐れむ歌」は最近続編も出ていました。
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