宇多丸の映画評論、大絶賛&酷評の神回をご紹介!
ことほどさように!「ライムスター宇多丸のウィークエンドシャッフル」映画評論コーナー
映画&ラジオファンの皆様、元気ですかー!というわけで、宇多丸のラジオでの映画評論「シネマハスラー」「ムービーウォッチメン」の中から、個人的に感銘を受けた神回をご紹介します。
宇多丸の評論はいつも大変面白いですが、特に凄いのはつまらない映画も「なぜつまらないか」を非常に面白く語ってくれるところ。そこで今回は「大絶賛の回」と「けなしまくった酷評の回」をそれぞれ5本チョイスしてまとめました。爆笑できる映画評論から、下手すると映画本編以上に感動してしまうような素晴らしい批評まで、どどんとお楽しみ下さいませ!
大絶賛の神回5選
かぐや姫の物語
命なき絵に命を吹き込むという、アニメーションの根源に立ち返ったかのような作品
かぐや姫を現代のフェミニズムとして解釈する。それだけで十分凄いのだが、それをさらに反転させて「人間の生」の本質に迫っていくような領域に達する。どんだけ凄いんだ!
「風立ちぬ」と同年の作品という事もあり、作品の質に対して世間での注目度が今ひとつだった感じも否めない。個人的には宇多丸氏と完全に同意見で凄まじい傑作だと思う。この前々回の「悪の法則」の評論と合わせて聞くとより一層理解が深まる。映画そのものと同じくらい、これを聞いているだけで泣きそうになるような素晴らしい評論。
参考記事:サスペンス映画 ゾクゾク来るおすすめの13本をご紹介します
Documentary of AKB48 show must go on 少女たちは傷つきながら、夢を見る
最高だ!最低だ!最高だ!最低だ!を繰り返すアンビバレンス
問題作であり金字塔であり到達点。必見である事は間違いない
今でこそアイドルに関して頭良さそうに語る批評家が増えたが、モー娘。以降のいわゆる「アイドル冬の時代」にアイドルソング批評をやり続けたのが宇多丸氏。ブブカチームが10年以上語り続けてきたアイドル論の一つの結論としてこの作品を位置づけている。アイドルに関して何らかの関心がある人であれば胸が熱くなる事間違い無しの超ハイテンション批評。
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ゴーン・ガール
ストーリー、脚本、演技、演出、美術、撮影、編集などなど全てに至るまで世界トップレベル。あらゆる大人向けエンターテインメントの中で最高峰。誰が見ても無類に面白い作品でありながら、最後に突きつけて来るものの重さも凄く、極めて奥が深い。
ストレートに褒めた作品としてはこれが切れ味抜群。「せーし、せーし」などのギャグも入れ込みながら鮮やかに褒めちぎっていく。ヒッチコックと比較しながら語るあたりは僕のような若輩映画ファンには非常に勉強になる。
関連記事:ゴーン・ガールの感想やら何やらをネタバレ気味にしゃべります
凶悪
映画ぶっ込み超人 映画凶悪ぶっ込み犯ピエール宇多丸による 週間映画ぶっ込みン「ムービーブッコメン」!
この始まりだけで爆笑してしまう「凶悪」の評論。ピエール瀧と親しい宇多丸氏ならではの、この映画におけるキャスティングの視点が面白い。
アンダルシア 女神の報復
突っ込みどころは勿論多い。みんなに薦める傑作とは言いがたい。しかし前作「アマルフィ」をけなされた作り手側のリベンジ魂、進歩への意志、そしてその確かな結果を感じる。「同じスタッフが作ったのか?」と思うぐらい見違えるような進歩が認められるという意味では非常に感動した。
宇多丸自身がけちょんけちょんにけなした前作「アマルフィ」の回とセットで聞くのがおすすめ。「日本のテレビ局映画」に関する考察という意味でも非常に奥が深い。
関連記事:予告編だけで泣ける映画 10作品
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けなしまくった酷評の神回5選
ココからが本番だぜ!
踊る大捜査線
「アンダルシア」のような前作の反省、リベンジがあるのか?と期待するじゃないですか。これがね、ぜんっっっぜん無いの!君塚氏の脚本はシュールの領域。
無能警察と無能な犯人がなんか色々やっているだけ。ストーリーの軸もごちゃごちゃで訳が分からない。
テレビシリーズの貯金は完全に使い果たした
あまりに酷いので「100歩譲って」「100歩譲って」を繰り返した結果双眼鏡覗きながらじゃないと見られないぐらいの映画になっていた。
聞いている間中笑いが止まらない。「映画をけなす」という事をここまでおもしろおかしく出来る宇多丸氏の評論の仕方は本当に天才的。終盤の室井のモノマネも良い。
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怪物くん
単に不真面目。
例えて言うなら「子供の為に子供向け自転車を買ったら、ネジがゆるんでるわ余計な部品がついてるわで非常に危険なものだった」といった感じの映画
映画・作品としてあまりに作りがずさんであるだけならまだしも、道徳的にどうかと思うような所がある。
おすすめできません。これは酷い・・。
ふつうにメチャクチャにけなしている。数億円かけて映画をつくってこんな事をいわれていると考えると痛々しくなる。
子供用だからこそちゃんとしたモノじゃないと
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サンブンノイチ
客をまともに扱わずに作品を作るなら、プロ同士で映画の見せ合いっこでもしててよ。でももし仮にそれが映画シーンだとしても、品川さんその中で大分下の方だからね。
「作ってない奴がごちゃごちゃ言うな」「なにも考えずに楽しむのが客として正しい」ともしも考えているなら、はっきり言ってそれは間違っている。
映画監督としての品川を真っ正面からディスった名評論。宇多丸のものづくりに対する姿勢も伺える。木村や松本など、お笑い芸人の映画を鋭く批判している宇多丸。それらの総決算といえるような回だった。
自分探しで映画とか作るならもうやめて下さいよ
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ROOKIES
初めて劇場でブワーッと噴き出して笑ってしまいました
テレビシリーズの良かった所を再現してぬくぬくと楽しませているだけ。新しい試み等は一切なし。単なるテレビ視聴者へのご褒美のようなもの。一見さんお断りどころじゃなく、「血縁者以外お断り」くらいの勢いを感じの排他的な映画。これは画期的ですらある。
とにかく終盤の「たかしとケメ子」の展開が素晴らしすぎる。映画を一切見ていなくても、如何にヤバい映画なのかがわかる。
R100
松本さんともあろう方に大変申し上げにくいが・・。はっきり言って「発想が貧困」ではないか。
以外と言及されないが、松本の顔であったり微妙なニュアンスが彼の笑いのキモなのでは無いかと感じる。構造として強固な笑いでは無く、極めて繊細なバランスで成り立っているのでは。
松本さん、孤高とか言ってる場合じゃないんじゃないですかね・・
映画の事はともかく、「松本人志論」として大変面白い。個人的にライムスターとダウンタウンの「他に並ぶものが無くて批評のしようが無い感じ」が結構近いと思っている。
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関連記事 : 村上春樹が「村上さんのところ」でおすすめしていた本・映画まとめ
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